
「小さなおうちDC環境を目指して」連載の初回記事では、Intel N100を搭載したBeelink Mini S12 Proを使用して、Intel N100の性能について詳しく解説しました。
Beelink Mini S12 Proについて調べてみると、同モデルよりもわずかに低価格のIntel N95を搭載したBeelink MINI-S12 miniが関連商品として表示されます。
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Intel N95の名前と最大周波数を見るとなんだかIntel N100に近しい感じがしますし、下位モデルなのかなと推察できますよね。
「Intel N95とIntel N100の性能差は一体どの程度なのだろう?」という疑問から、検証のためにBeelink MINI-S12を購入し、これらの違いを詳しく調べることにしました。
目次
そもそもIntel N95のスペックは?
項目 | Intel N100 | Intel N95 |
---|---|---|
世代 | Alder Lake-N | Alder Lake-N |
コア数/スレッド数 | 4/4 | 4/4 |
ターボブースト利用時の最大周波数 | 3.40GHz | 3.40GHz |
キャッシュ | 6MB Intel Smart Cache | 6MB |
TDP | 6W | 15W |
最大メモリサイズ | 16GB | 16GB |
メモリーの種類 | DDR4 3200 MT/s DDR5 4800 MT/s LPDDR5 4800 MT/s | DDR4 3200 MT/s DDR5 4800 MT/s LPDDR5 4800 MT/s |
最大メモリー動作周波数 | 4800MHz | 4800MHz |
最大メモリーチャネル数 | 1 | 1 |
プロセッサーグラフィックス | Intel Core UHD Graphics | Intel Core UHD Graphics |
グラフィックス最大動的周波数 | 750MHz | 1.20GHz |
実行ユニット | 24 | 16 |
チップセット / PCH PCIeリビジョン | Gen 3 | Gen 3 |
PCI Expressレーンの最大数 | 9 | 9 |
これらを比較してみると、キャッシュとプロセッサーグラフィックス関連の特性以外には大きな違いが見られません。
例えば命令セット拡張など他の機能に差は無い状況です。気になった点と言えばIntel N95は対応ソケットの項目が無いくらい。
デスクトップ機として使用するのであれば、Intel N95の方が適していると感じられます。しかし、サーバー用途としては、正直なところ、性能差はそれほど明確には現れないとも考えられます。
性能差がそれほどなく、サーバー用途であれば、よりコスト効率の良いIntel N95搭載のマシンを選択する方が賢明かもしれません。
これらの観点を考慮に入れつつ、Intel N100との性能比較を詳しく見ていきたいと思います。
Intel N95も32GBメモリを普通に認識する

Windowsを搭載した状態でのスクリーンショットを撮り忘れてしまったため、Proxmox VEのサマリ画面のスクリーンショットを示しますが、こちらでも32GBのメモリが正しく認識されていることが確認できます。
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今回は到着日の都合上、CrucialのCT32G4SFD832Aを試しに使って見ましたが、こちらも問題なく認識されました。
Intel N95の様子
Intel N100の時と同じく、HWiNFO32でハードウェアスペックを確認していきます。

こうしてみると確かにIntel Arkの通りのスペックですが、Intel Arkでは確認できなかったIntel N100との違いが見て取れました。
項目 | Intel N95 | Intel N100 |
---|---|---|
TDP | 15W | 6W |
LFM (Min) | 800.0 MHz | 700.0 MHz |
Base Clock (HFM) | 1700.0 MHz | 800.0 MHz |
このベースクロックの差が果たしてワットパフォーマンスに影響が出るのか気になるところ。
ベンチマーク結果
Intel N100と時と同じく、Cinebench R23とドラゴンクエストⅩベンチマークを実行したので、結果を比較しよう!と思ったのですが、N95のメモリを換装する前にテストしたため、正確な比較ができなくなってしまいました・・・
一方で、Unixbenchマークについては、Intel N95も32GBメモリに交換した後に測定したので、こちらのスコアを基に実際の比較を行っていただければと思います。
Cinebench R23

Cinebench R23のスコアは上図のとおり、Multi Coreが2095pts、Single Coreが910pts。
参考までにIntel N100(RAM 32GB)の結果がMulti Coreが2618、Single Coreが936という結果。
搭載しているRAMに差はあるものの、若干Intel N95の方がスコアは落ちるんじゃないか、と推測されます。

Single Coreのスコア比較を見てみると、Intel N95が910でThreadripper 1950Xが945と改めてAlder Lake-Nの尖り具合が分かります。
ドラゴンクエストⅩベンチマーク

Intel N100の時と同じく、グラフィック設定を「標準品質」、解像度を「1920 x 1080」として実行した結果「2310」の「やや重い」の結果。
参考までにIntel N100の結果はスコアが2941で同じく「やや重い」判定でした。
Unixbench
続いては本命のUnixbench。
Intel N95、Intel N100ともに32GBメモリに換装した上で、同じバージョンのProxmox VE上でテストを実施したので、こちらは良い比較になると思います。
Proxmox VE 7.4環境で下記CPUを搭載したサーバを用意し、それぞれUnixbenchを走らせてみました。
- Intel N95
- Intel N100
- Xeon E3-1225 v5
- Core i3-13100
さて、Intel N95とIntel N100の結果を比較すると、1 parallel copyの結果はIntel N100比で約93.2%でしたが、4 parallel copyはIntel N100比で77.5%とかなり大きな差が出ました。

簡易的なチェッカーを使って、Unixbenchを走らせている間のW数を計測したところ、Intel N95は15W表示。

Intel N100は19W表示と、Intel N95よりワット数は高め。
ワットパフォーマンス(使い方あってるのか不安ですが・・・)で見てみると、僅かにIntel N100の方が良いのですが、普通のサーバ機と比較すると微々たる差ですね。
Intel N100モデルとIntel N95モデルの価格差
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ワットパフォーマンスは僅かにIntel N100の方が高いことが分かりましたが、それを踏まえた上で価格差に大きな差があるのか気になるところ。
記事執筆時(2023/05/25 0:45時点)の価格で比較してみます。
項目 | Beelink S12 Pro (Intel N100) 16GBメモリ、500GB SSD | Beelink S12 (Intel N95) 8GBメモリ、256GB SSD |
---|---|---|
販売価格 | 35,400円 | 29,800円 |
クーポン | 8,500円オフ | 8,000円オフ |
クーポン適用後価格 | 26,900円 | 21,800円 |
搭載メモリとSSDのサイズが異なるため、完全に公平な比較はできませんが、クーポンを適用した後の価格差は5,100円になりました。
Proxmox VEをインストールしてそのまま利用するのであれば、Beelink S12 Proがよりコスト効率の高い選択となります。
一方で、僕自身は購入後にM.2 NVMeストレージとメモリを交換し、さらに2.5インチSSDを追加購入して搭載するつもりです。そのため、本体価格をできるだけ抑えたいという考えから、今後はBeelink S12を選択する方向になりそうです。
サーバのパフォーマンスを可能な限り上げたいという思いありますが、Linux VMであれば1~4VM、Windows VMでは1~2VMを動作させるのが本機の目安であり、複数台動かすための構成を考えると、Intel N95モデルでも充分に対応できると感じます。
結果としては非常に難しい選択となりますが、追加パーツを別途購入するか、そのまま使用するか、そして予算がどれほど許すかによって、最適な選択が変わるでしょう。
参考:しょぼんブログ的セット
僕がクラスタメンバーとして追加するときの構成は以下で組んでいます。
項目 | 製品名 | 価格 | 購入先 |
---|---|---|---|
本体 | Beelink S12 (Intel N95) | 21,800円 | Amazon.co.jp |
メモリ | CT32G4SFD832A(DDR4-3200 32GB) or CT16G4SFS832A(DDR4-3200 16GB) | 9,920円 or 5,472円 | Amazon.co.jp (32GB) Amazon.co.jp (16GB) |
NVMe | P41 Plus 512GB | 4,670円 | Amazon.co.jp |
2.5インチSSD | MX500 1TB | 8,190円 | Amazon.co.jp |
メモリやストレージの選定理由
クラスタメンバーサーバ上で動作させているVMの数やスペックを考えると、実際には16GBメモリでも十分だろうと思います。
ただし、1台のサーバが故障してVMをマイグレーションする必要が生じた場合を考慮し、32GBメモリを選択しています。
理由としては、本体が非常に安価なので、壊れた場合には新たに購入すれば良いのですが、新しい本体が到着するまでの間、メンバーサーバが1台欠ける状態となり、そのときには16GBメモリだと厳しい状況が生じる可能性があるためです。
NVMeにはP41 Plusを使用していますが、Beelink S12はBeelink S12 Proと同様に、PCIe 3.0 1xで動作するため、パフォーマンスを最大限に引き出すことはできません。
しかし、僕自身の購入方針として、NVMeや2.5インチSSDは自身が半導体も製造しているメーカーの製品を選び、低価格で入手可能性が高いという理由からP41 Plusを選択しています。
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また、クラスタメンバサーバがダウンした際に、他のメンバサーバでVMを復旧させるため、使っていなかったQNAP NASをバックアップサーバとして用意して、クラスタに追加しています。
この辺りの全体構成も今後の連載記事で触れていきたいなと思いますので、ぜひお楽しみにお待ちください!
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