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燃えないリチウム二次電池 を産総研が開発

燃えないリチウム二次電池 を産総研が開発

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燃えないリチウム二次電池 を産総研が開発

国立研究開発法人の産業技術総合研究所(産総研)のエネルギー応用材料技術研究チームが、酸化物の単結晶を固体電解質部材とする、小型全固体リチウム二次電池を開発しました。

高いエネルギー密度をもつリチウム二次電池


リチウム二次電池は、高いエネルギー密度をもっているため、スマートフォンやノートパソコンをはじめとした、様々な機器に使われています。

その利便性から現代社会において切っても切り離せない物となっているのですが、とある問題を抱えています。

ショートによる発火

リチウム二次電池は、内部に可燃性の有機電解液が利用されているため、ショートするとこの有機電解質から発火し、発煙や爆発を引き起こす原因となります。

最近だと、GALAXY Note7の発火問題で社会的な問題にもなりましたよね。

身近にあるリチウム二次電池ですが、扱いを誤ると発火することから、以前よりその安全性が問題となっていました。

有機電解液を無機固体電解質へ

そこで、可燃性の有機電解液に変わって不燃性の無機固体電解質材料へ置き換え、髙安全性の全固体リチウム二次電池の実現に向けて開発が行われています。

現在、有力な無機固体電解質材料は硫化物系と酸化物系の2種類が存在しています。

硫化物系固体電解質材料は使いやすいけど・・・?

中でも、硫化物系固体電解質材料は、酸化物系固体電解質材料よりも1桁ほどリチウムイオン伝導率が高く、可塑性(固体に力を加えた弾性限界を超える変形を与えたあと、力を加えることをやめてもひずみがそのまま残る性質)に優れた固体です。

そのため、電極と固体電解質の界面接合が容易に行えますが、大気中に触れると有毒な硫化水素ガスが発生します。

その性質上から、実際に使用する場合は堅牢な封止書こうが必要なため、その分生産コストが上がってしまいます。

酸化物系固体電解質材料は安全だけど・・・?

硫化物系固体電解質材料と比べて、酸化物系固体電解質材料は、科学的な安定性が高く、環境適合性も高いですが、リチウムイオン導電率が有機電解液より低く、隙間無く十分に稠密(密集している)な電解質部材ができませんでした。

そのため、金属リチウムの貫通により、ショートしてしまい使い物になりませんでした。

また、電極と固体電解質の界面接合が強固ではない事から、実用レベルの電池性能を得ることができませんでした。

ガーネット型酸化物で世界最高のリチウムイオン導電率

そんな弱点をもつ酸化物系固体電解質材料でしたが、今回産総研は酸化物系固体電解質材料である、ガーネット型酸化物(イットリウムアルミニウム酸化物等)を利用して、世界最高のリチウムイオン導電率をもつ単結晶を初めて合成して、固体電解質部材に使用しました。

また、電極と固体電解質の界面接合の課題を解決するために、産総研独自の常温製膜技術の、エアロゾルデポジション法(微粒子をガスト混合させて、減圧下のもとノズルから噴射することで、エアロゾルジェットとして基板に衝突させて、膜を形成する技術)を利用することで、電極と固体電解質の境界結合強度を向上させました。

導電率と界面接合の強度問題を同時に解決

酸化物系固体電解質材料の課題であった、導電率の低さと界面接合の強度問題を同時に解決することで、燃えにくい実用レベルのリチウム二次電池を産総研が開発したわけです。

なるほど、よくわからん


上記の内容があまり分からないという方は、下記の点を抑えてみてください。

  • 従来のリチウム二次電池は発火する危険性があった
  • 産総研が発火しないリチウム二次電池を開発した
  • このリチウム二次電池が採用されれば、スマートフォンから発火する危険性もなくなる

まとめ

リチウム二次電池の発火問題については、学生時代に材料工学で学んでいたので、今回のプレスリリースも何とかついて行くことができました。

スマートフォンがこれだけ普及してきているにもかかわらず、長い間このリチウム二次電池の危険性が解決されない現状について、でっかい問題になるんだろうなぁとは昔から思っていました。

各社のスマートフォンの説明書にも、衝撃を与えたりしないように注意事項が記載されていますが、ユーザー側は何故衝撃を与えたらダメなのか理解できる記載がなされていませんでした。

材料力学などで詳しくリチウムイオンの特性を学んでいなければ、リチウムイオン二次電池が爆発するなんて考えにたどり着かないのは当然のことです。

このあたりについては、メーカー側でのさらなる啓蒙活動も必要ではありますが、消費者庁など行政がもっと働きかける必要があるんじゃないかなと僕は思います。

今回の研究で、燃えないリチウム電池が開発されたわけですが、実際の製品に搭載されるのはまだ先になるかとは思いますが、今の社会的背景を踏まえると早めの搭載が望まれますね。

Source: 産総研

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