「おうちDC」という言葉は、サーバーインフラに興味がある方なら一度は耳にしたことがあるでしょう。
読者の中には、「聞いたことがある」という方や、「すでに家にある」という方もいるかもしれません。
この「おうちDC」は、自宅にサーバーを設置し、様々なことを検証できる環境です。
クラウド利用が広まった現代でも、まだまだ有用なものとして考えられています。
しかし、実際に用意してみると、以下の2つの問題が主に出てきます。
- 場所の問題
- コストの問題
場所の問題へのアプローチ
最初に思い浮かぶ問題は、場所の問題です。
「おうちDC」の例を調べてみると、「19インチラックを導入しました~」とか、「ラックマウントサーバを導入しました」、といわゆる”逸般”の誤家庭の例がよく見受けられます。
もちろん、十分なスペースがある場合や、家族の理解が得られる場合は問題ありませんが、そううまくいかないこともあります。
私自身、大阪の実家には19インチラックを置いていますが、東京に引っ越して結婚してからはそうもいかなくなっていたりします。
そこで、ダイソーの組み立てスチールラック(45cm x 25cm)を使用することで、場所を取らずに「おうちDC」を組むことを目指します。
コストの問題へのアプローチ
Alder Lake-Nの優秀さ
続いて挙げられる問題は「コストの問題」です。
仮想ホストとしてPCを組む場合、それなりのCPU性能とメモリが必要になります。
最低でもCore-i3/Ryzen 3以上のプロセッサが必要であり、CeleronやAtomといったローエンドプロセッサでは少し息切れする状況でした。
そのため、満足する環境を組むと最低でも10万円くらいは必要になり、お小遣いで組むには少々厳しい額になってしまいます。
しかし最近リリースされた、Alder Lake-NなIntel N100の性能が非常に優れ、低コストで調達できるようになったことにより、話の焦点が大きく変わりました。
Proxmox VEのうまみ
また、vSphere ESXiなどを使っていると、ストレージをiSCSIやNFSでマウントして利用することが一般的で、NICを束ねたり、仮想ホストとストレージ間だけ10G化するなどの設定を行うことが必要でした。
そのため、これらを「おうちDC」で実現しようとすると余計にコストがかかってしまいます。
さらに、vSphere ESXiではライブマイグレーションができなかったので、そこもネックでした。
しかし、最近では個人でも利用できるProxmox VEを採用することで、各ノードにSSDを搭載し、ライブマイグレーションを使用することで、コストを抑えながら高速かつ安定した環境を実現できます。
この連載では、コストパフォーマンスの良いAlder Lake-Nプロセッサと、Proxmox VEを活用して快適な「おうちDC」環境を目指していきます。