卓上USB充電器やモバイルバッテリーなど、主にモバイル系のガジェットメーカーとして有名なUGREENが、なんとNAS製品「NASync」を発表した、という話を聞いて驚いたものです。
欧米では、Kicstarterのクラウドファンディングで10億円もの投資額が集まったモデルで、個人的にも少し気になっていました。
今回機会に恵まれて、2ベイモデルの「NASync DXP2800」のサンプルを手元に用意できたので、UGREENが引っさげてきたNASync製品をレビューしていこうと思います。
目次
シックで高級感を感じるデザイン
早速NASync DXP2800の外観からチェックしてきましょう。
本体のデザイン自体はガンメタリックな黒を基調としたデザインで、シックで高級感を感じさせてくれます。
前面にはUSB-CポートとUSB-Aポートが搭載されており、どちらも10Gb/s対応の高速通信が可能となっています。
HDDのトレイは付属の鍵で施錠できるようになっており、作業ミスでHDDを誤って取り外すのを防いでくれるので結構ありがたいですね。
背面は排熱用のファンと、HDMIポート、5Gb/s対応のUSB-Aポート(青いポート)、USB 2.0対応のUSB-Aポートが2つ、そして2.5GbE対応のLANポートが1つ、そしてACアダプタの端子が用意されています。
10Gb/sまたは5Gb/s対応のUSB-Aポートは、バックアップ用の外付けHDDを接続すると良さげです。
リビングに置いているテレビや、自室のPC用ディスプレイとHDMIケーブルで接続すると、UGREEN NASアプリを使って、NASの中に保存している画像や動画を4Kで再生する機能も備わっています。
後述するスマートフォンとの同期機能を使えば、旅先で撮影した写真や動画を大きな画面で再生する、といった使い方も可能です。
NASといえばファイルサーバーのイメージが強いですが、ホームマルチメディア機器としても使えるのも大きなポイントですね。
HDDの搭載方法に見る、ユーザへの気づかい
外観チェックを終えたので、続いてHDDをNASync DXP2800に搭載してみましょう。
HDDの搭載はドライバーなどの工具が不要なツールレス仕様となっており、まずはHDDのトレイのレバーを上図の様に持ち上げ、手前にHDDトレイを引き出します。
HDDトレイを取り出した様子が上図なのですが、既存製品と同じようにHDDトレイを少し曲げてみたり、側面になにか留め具がないか確認したのですが、特にそういった物もない事に、最初は戸惑ったのですが・・・
HDDトレイをひっくり返してみると、「Press」と記載された箇所があったので、指示通りに押してみると・・・?
なんとHDDトレイの側面がカシャッと横にずれて、HDDを取り付けられるようになるのです。
筆者の記憶する限り、HDDの取り付け方法にこのような方法を採用したものはなく、非常に画期的な仕組みだなと感じました。
普段ユーザーに近い製品を販売しているUGREENだからこそ、気づかえるポイントだなぁと思った次第です。
全体的に完成度も高いのですが、もしかするとこのHDDトレイの工夫が一番感動したポイントかも知れません。
HDDを搭載した様子が上図なのですが、HDDをポンと置くだけでOK。
最後に、右側面を左に動かしてパチっとはめ込めばこれでHDDトレイへの取り付けは完了です。
ツールレスのHDDトレイは少しHDDの取り付けがし辛い事もあったのですが、NASync DXP2800の方式であれば、簡単にHDDを取り付けられるので、本当にこの取り付け方式は良いですね。
NASync DXP2800はHDDの他にM.2 Type2280タイプのNVMeを2つ搭載できます。
こちらもHDDと同じくツールレスで取り付けできるのですが、筐体サイズの小ささなどもあって取り付け位置は本体内部左側面に用意されています。
M.2 NVMeを搭載する場合は、NASync DXP2800を横倒しにして取り付けることをオススメします。
(筆者はそこに気付かずに、写真の状態で取り付けていました。横倒しすればよかった…)
NASync DXP2800を実際に使ってみた
セットアップはPCいらず。スマートフォンだけで設定が可能
NASyncシリーズは、PCでセットアップ用ユーティリティをインストールするのではなく、何とスマホアプリで設定が完結できるようになっています。
AndroidまたはiPhoneに「UGREEN NAS」アプリをインストールして、NASync DXP2800とWi-FiルーターをLANケーブルで接続し、NASync DXP2800の電源を入れた状態でUGREEN NASアプリを起動します。
アプリから初期セットアップを進めていくと、特に難しい操作なども必要なくNASync DXP2800を認識し、そのまま画面の指示に従って簡単にセットアップできちゃいます。
NASを購入すると、どうしてもPCに専用のユーティリティをインストールして、IPアドレスを確認した上でWEBブラウザからアクセス…という風に、初心者にとってはハードルが高い作業でした。
ですが、スマホのアプリからセットアップできるのであれば初心者でも安心して利用できるのは良いポイントですね。
UGREEN NASアプリ自体もシンプルで分かりやすい作りになっており、初めて利用する際は次に何をすれば良いか表示してくれるため、管理アプリも初心者でも安心できる丁寧な作り込みが見て取れます。
難しい設定は不要!外出先でもスマホの写真や動画がバックアップできる
UGREEN NASアプリは、NASync DXP2800の設定だけでなく、スマホ内の写真や動画をバックアップしてくれる機能が搭載されています。
スマホの画像をバックアップする場合、iCloudやGoogle Oneなどの有償サービスを契約する必要があり、スマホ内の写真や動画の量が増えてくると、上位のプランを契約する必要が出てきます。
また、アカウント自体が何らかのトラブルで停止されてしまった場合、今までバックアップしていた写真や動画が消えてしまう、というトラブルや、為替レートの変更等で月額費用が高くなる、といったことが怒るかも知れません。
ですが、NASync DXP2800の「スマホのバックアップ」機能を利用すれば、最初にNASync DXP2800を購入するだけで、スマホ内の写真や動画をバックアップできるので、お財布に優しい使い方ができるのは嬉しい点ですね。
NAS製品は、通常自宅内からしかアクセスできず、外出先から接続する場合は複雑な設定が必要になります。
ですが、NASync DXP2800は「リモートアクセス機能」が用意されており、初期セットアップ画面で機能を有効化するだけで、外出先からも自宅のNASync DXP2800にアクセスできちゃいます。
この機能を活用することで、自分だけのクラウドストレージとして利用できるので初心者にも、パワーユーザにも嬉しい仕様ですね。
2.5GbEに対応したNASync DXP2800の読み書きスピードをチェック
最後に2.5GbEに対応したNASync DXP2800の読み書きのスピードがどれ位出るのか、CrystalDiskMarkを使って実際にテストしてみました。
テスト環境は以下の通りです。
- 搭載HDD
- WD Red Plus 4TB×2
- 搭載NVMe
- crucial P3 Plus 500GB×2
- テストケース
- HDD×2 RAID1
- NVMe×2 RAID1
- HDD×2 RAID1 + SSDキャッシュ RAID1
CrystalDiskMark 読み込みテスト結果
まずはCrystalDiskMarkの読み込みテスト結果から見てみましょう。
- HDD×2 RAID1
- SEQ1M Q8T1:296.12MB/s
- SEQ1M Q1T1:198.40MB/s
- RND4K Q32T1:57.88MB/s
- RND4K Q1T1:4.78MB/s
- NVMe×2 RAID1
- SEQ1M Q8T1:295.27MB/s
- SEQ1M Q1T1:201.12MB/s
- RND4K Q32T1:62.51MB/s
- RND4K Q1T1:5.15MB/s
- HDD×2 RAID1 + SSDキャッシュ RAID1
- SEQ1M Q8T1:293.81MB/s
- SEQ1M Q1T1:197.79MB/s
- RND4K Q32T1:59.6MB/s
- RND4K Q1T1:5.02MB/s
こうして見てみると、HDD単独だろうがNVMe単独だろうがSSDキャッシュを有効にしようが、以外と差が無いことが分かります。
一昔前のHDDと比べて今のHDD自体の性能が向上している点であったり、2.5GbEの最大速度が312.5MB/sなのでネットワークスピードがボトルネックとなっているために大きな差が出ていない状況です。
もちろん、決して遅いと言うわけではなく、NASでありながらPC内のHDDとほぼ同じ速度で利用できるため、実用上大きな問題はありません。
それでは書き込みの場合はどうなるでしょう。
CrystalDiskMark 書き込みテスト結果
CrystalDiskMarkの書き込みテスト結果は以下の通りです。
- HDD×2 RAID1
- SEQ1M Q8T1:147.84MB/s
- SEQ1M Q1T1:181.61MB/s
- RND4K Q32T1:54.83MB/s
- RND4K Q1T1:3,74MB/s
- NVMe×2 RAID1
- SEQ1M Q8T1:270.1MB/s
- SEQ1M Q1T1:186.84MB/s
- RND4K Q32T1:54.66MB/s
- RND4K Q1T1:4.28MB/s
- HDD×2 RAID1 + SSDキャッシュ RAID1
- SEQ1M Q8T1:272,83MB/s
- SEQ1M Q1T1:180.13MB/s
- RND4K Q32T1:53.14MB/s
- RND4K Q1T1:3,93MB/s
書き込みテストでは、読み込みテストの時と違ってHDDのみの構成とそれ以外で、シーケンシャルライトアクセス(SEQ1N Q8T1)において大きな差が出ることが分かります。
HDD自体は読み込み速度より書き込み速度がどうしても遅くなってしまうため、HDDの限界性能が2.5GbEに速度限界に達していないことが分かります。
ですが、NVMeのみの構成やHDDとSSDキャッシュを組み合わせた構成であれば、書き込みについても読み込みテスト時とほぼ変わらない結果が得られました。
普段書き込みを頻繁に行わない場合であれば、NVMeを搭載する必要はなさそうです。
しかし、頻繁に読み書きする使い方をするのであれば、NVMeを搭載した上でSSDキャッシュを有効化して利用すると、コストパフォーマンスの高いNASが構築できるので、用途によって使い分けするようにしたいですね。
まとめ
ここまでの結果をまとめてみると、NASync DXP2800は以下のような大きな特徴を備えた製品と言えます。
- 設定はスマホ1台で完結。初心者でも簡単にセットアップ可能。
- 自分だけのクラウドストレージが簡単に構築できるので、有料のクラウドストレージが不要に。
- HDDの搭載方法をはじめ、ユーザへの気づかいが感じられる丁寧な仕上がり。
- パフォーマンスも妥協なく、2.5GbEをフルに活用できる性能の高さが光る。
Kickstarterで注目されていた物の、個人的にNASのメーカーとしてはダークホースすぎたこともあり、今回実機を用いて動作確認できたのは非常に良い経験でした。
この作り込みの高さを見ると欧米での人気も伺えますし、何より日本でも非常に有力なNAS購入候補として受け入れられるのでは?と感じました。
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